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少し前ですが出店したイベントで、同じく革製品のブランドをされている方とお話しをしていたら、「シマウマ」の革を使われているとのこと。
私はシマウマの革は初めて見ましたが、お客様とお話ししていると、あまりご自身が使っているものでも何の革か意識していない人が多いように感じます。
そこで、どんな動物が革として利用されているのか、その革の特徴や用途と合わせてまとめてみました。

目次

言わずと知れた革の王様”牛革”
なんの前提もなく、「革製品」といったら大体の人が牛革を思い浮かべるのではないでしょうか。
カーフ、キップ、ステアハイド、カウハイド……と、同じ牛革の中でも生育期間や、部位、性別などで多彩な種類があります。(その説明は長くなるのでまた今度…)基本的に牛革は食用のお肉の副産物なので、圧倒的な供給量により比較的安価なことも、多く使われている理由です。

丈夫で、厚みもあって加工がしやすい牛革は、靴や鞄、財布だけでなく家具や車のシートなど多種多様な使い方をされて、一番身近な革と言えます。

バッファロー


牛の仲間、バッファロー(=水牛)の革もメジャーな革素材のひとつです。
牛革と比べても、さらに厚みがあり、抜群の強度を誇ります。
オイル分の多い素材なので、使い込むほどに柔らかく、エイジングもしやすい革です。
牛革と見分けがつきにくいですが、牛革と比べると傷が多いのも特徴です。
靴、鞄、革小物など広く使われています。

クーズー(クードゥー)


同じウシ科の仲間では、最近よく聞くのがこのクーズーの革です。
あまり日本では馴染みのない動物ですが、アフリカの方ではめずらしくないそうで、見た目には大きめな鹿…みたいな感じですね。
独特な角が立派です。
本来は床面(革の裏側)をスエードにして使う革だったのですが、最近は傷の多い銀面(革の表側)をそのまま使って、ワイルドな風合いを楽しむ使い方が人気です。

こちらも革として広く利用されている馬革。
牛革と比べると厚みが薄いですが、軽くしなやかなのが特徴です。
その特徴を活かして、レザージャケットなどでは馬革がよく使われています。
また、革の中でも高級品と言える「コードバン」も馬革です。
コードバンは、馬のお尻部分の革で、革の中にあるコードバン層という層を削り出した革です。
繊維が複雑に絡み合っていることでとても強度がある革ですが、水に弱いという特性もあります。
写真のような高級な紳士靴や、革小物などに使われることが多い革です。


牛革をはじめとして、日本でなめされている革でも原皮は海外からの輸入品ということが多いのですが、この豚革(ピッグスキン)だけは原皮もほぼ国産という実は日本を代表する革です。
その特徴は非常に薄く、軽く、通気性が良いこと。また、摩擦に強いのも特徴で、それらの特徴から鞄や財布、靴などのライニング(裏地)としてよく使われます。
革の表面には小さな毛穴が三点ひと組で三角形の形に並んでいて、わかる人にはひと目で豚革とわかります。
また、ピッグスエードという起毛させた革も主に鞄の内装として人気があります。

山羊


山羊革の特徴は、薄く、軽いながらも繊維の詰まりが良くて堅牢な素材です。
表面には凹凸があるので、いわゆるスムースレザーとしては使えないのですが、その細かなシボが高級感を感じさせます。
それほど大きくはなく、また厚みもないため、お財布など革小物に使われることが多い革です。


羊革はキメが細かく、とてもやわらかくて、肌触りの良い革です。
そのしなやかさを活かして、手袋や衣類、ハンドバッグなどに利用されることが多い素材となっています。
見た目が似ている山羊と羊は、革になっても似ているのですが、触れてみると山羊の方が丈夫で、羊の方がしなやかなのがよくわかります。

鹿


日本における鹿革の歴史は古く、弥生時代にはすでに革として使用されていたと言われています。
実際、東大寺正倉院には千年以上前の革製品が保存されています。
革の特徴としては、耐水性、通気性、保温性に優れ、軽く、手触りがなめらかな素材です。
薄い素材なので用途は限られますが、手袋など肌触りの良さを活かした製品に使われます。
鹿革として出回っている革の多くは、中国から輸入されたキョンを原皮としたものですが、近年獣害問題への関心の高まりや、ジビエブームなども相まって、野生の鹿の革を使ったものも多く見られるようになってきました。

ダチョウ

ダチョウの革と言ってもピンとこないかもしれませんが、「オーストリッチ」と聞くと、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
革から羽根を抜いた時にできる独特なドット柄(クイルマーク)が特徴の革です。
非常に柔らかくて、軽いので特に女性もののお財布やハンドバッグに使われることの多い革です。

ワニ

高級素材エキゾチックレザーの代名詞とも言えるワニ革。
基本的に革は食用としての肉の副産物ですが、ワニに関しては革が高額で取引されることもあってか、革をつくるために養殖されているそうです。
「クロコダイル」「アリゲーター」「カイマン」の3種類があり、それぞれウロコの形状・サイズなどに特徴がありますが、素人で違いを見極めるのはなかなかむずかしいものです。
また、同じ種類の革でも加工の違いによってお腹側の革を中心に使う「ハラワニ」と背中側の革を中心に使う「セワニ」に分けられます。
多くの方が一般的にイメージするワニ革は「ハラワニ」で写真の革もハラワニになります。
「セワニ」は背中の真ん中、背骨のラインに沿ってゴツゴツとしたコブがあるワイルドな見た目で、主にメンズのバッグやお財布などに使われます。

ヘビ

こちらもエキゾチックレザーの代表格ですが、ワニ革と比べると柔らかく、しなやかな革です。
表面は伸縮性もあり丈夫ですが、革そのものは薄いので、内側に牛革を張り合わせて使用します。
ヘビ革と聞いて多くの方が思い浮かべるのが「ダイヤモンドパイソン」。その名の通りダイヤ型の模様が入った革で、アミメニシキヘビの革になります。
その他にもアナコンダやコブラ、ガラガラヘビなどヘビの種類によって違う模様が楽しめます。
ワニと同じく背側、腹側で表情が異なるのも特徴です。
日本では、昔からヘビを見るとお金が貯まると言われたり、幸運が訪れると言われたりするので、お財布として使われることの多い革です。

トカゲ

こちらもトカゲ革と言うより、「リザード」と言う方がピンとくる方が多いのではないでしょうか。
他のエキゾチックレザーと比較すると、うろこが細かくて、上品な雰囲気があるのでレディースアイテムにも使用されることが多い革です。
一枚がそれほど大きくないので、基本的にはお財布など小物に用いられます。
とても薄いので、牛革の床革などに張り合わせて使われる場合が多いですが、繊維が詰まっているためとても表面はとても丈夫で、またうろこが細かいことにより傷が目立ちにくいことも特徴です。


あまり一般的ではないですが、時々見かける象革。
おそらく多くの方がイメージする通りの、ゴツゴツした野生味を感じさせる革です。
象は絶滅危惧種としてワシントン条約により輸出入が厳しく制限されていますので、そもそも市場に出回ることも少なく、希少な革のひとつです。
象やクーズーなどは珍しいものではありますが、他のものについてはお店等で見かけることのある、ある程度メジャーな革をご紹介しました。

ちなみにこれ以外にも、以下のような動物からとられた珍しい革もあります。

エイ
サメ
ラクダ
カンガルー

カバ
うなぎ
アザラシ
etc…

冒頭に書いたシマウマのように、私が知らないものもきっとあることでしょう。
現状、TSUKIKKUSAでは加工の違いこそあれ、牛革のみを使用していますが、今後新しいものを作っていく中でまた違う素材を選ぶこともあるかもしれません。

興味を持ってみていないとなかなか見分けるのは難しいですが、それぞれつくり手は、作るものの用途やデザインに合わせて、素材選びをしています。
お財布や鞄を購入する際、どういうものを買うか悩んだら、デザインや色だけでなく、素材によって探してみるのも面白いかもしれません。