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クリスマスも近づいてきたこの季節、「今年はお財布をプレゼントしようかな?」という方も多いのではないでしょうか。
お財布のつくり手としてだけでなく、百貨店などの催事で売場に立つことの多い私も、今まで多くのお財布を探しにきたお客様とお話しさせていただきました。
接客をする中で気付いたのが、「意外とみんなパートナーのお財布を把握していない」ということです。
プレゼントを選ぶにも、今使っている財布のことを確認しておけば、次の財布選びにとても役立ちます。
販売員目線から、ここを確認してから買い物に来ると、お財布選びがスムーズになりますよ!というポイントをまとめてみました。

目次

財布の形

まず確認しておいて欲しいのが、単純にどんな形のお財布をお使いかということです。
「それくらいわかるよ!」という声が聞こえてきそうですが、「今お使いの形はどんなのですか?」と、聞くと「どんなんだっけ…?」という人も少なくはないのです。
改めて、パートナーが帰宅したらお財布の形を確認してみましょう。

大きく分けるとお財布は”長財布”と”折財布”の2種類に分けられます。
更に細分化すると、代表的なところで以下のようなものがあります。

<長財布>
・かぶせ蓋=お札を折らずに入れられる長さで、二つ折りになっているもの。薄いものが多い。

・ラウンドファスナーウォレット=ファスナーで閉じてしまえる長財布。更に、容量の入る三辺ファスナーのタイプと、薄さが魅力のL字ファスナータイプに分けられる。

・アコーディオンウォレット=蛇腹のマチがついて多層構造になっているタイプ。厚みは出るが収納力に優れる。

<折財布>
・二つ折り財布=お札が二つに折れる形で、左右に小銭入れとカードポケットを配するのが一般的。

・三つ折り財布=お札が三つに折れるタイプで、厚みは出るが、縦横のサイズは名刺入れほどのコンパクトなタイプ。

・マネークリップ=真ん中に押さえ金具がつくクリップタイプ。マチがないので、薄いのが特徴。小銭入れがつかないものが多い。

もちろんこれで全てではないですが、多くの方はこれらのどこかに属するはずです。
これらが分かることで、パートナーのお財布に求めることが「収納力」なのか、「小ささ」なのかなどといった大まかな傾向が読み取れます。
また、お札を折るのが嫌だという人も多いので、せめて長財布か折財布かがわかると販売員さんもご案内しやすくなるはずです。

形に限った話ではなく、この後の項目にも当てはまることですが、もし、今のお財布で使いにくい部分、例えば「この財布大きすぎるんだよなー」などと話していることがあれば是非それも覚えておいてください。
今のお財布と比較することで、候補のお財布を絞り込むことができます。

コンパクトさが魅力の二つ折り財布と、薄さが魅力の長財布。

小銭入れの有無

続いてこちらも意外と把握していない人が多いのが、”小銭入れ付きの財布”か”小銭入れなしの財布”かということです。
統計を取ったわけではなく、あくまで私の体感ですが、男性であれば2〜3割の方は小銭入れなしのお財布を使っているように思います。
この点については、特にリクエストがない場合は、「今のものと同じ」にしておくのが無難かと思います。
小銭入れ付きのものを使う方は、「二つ出すのがめんどくさい」「小銭入れ別だと失くしそう」など別で持つことにデメリットを感じている方が多いです。
逆に、小銭入れなしを使う方は、「薄く持ちたい」などそのスタイルにこだわりがある方が多い印象です。
どちらにしてもかなりお財布選びのポイントになる部分なので、把握しておきたいところです。

例外的に、もらった財布などをお使いで、小銭入れ付きを使っているけど、付いている小銭入れを使っていないという方がいます。
この場合は、小銭入れなしにすることで、「薄さ」と「カードの収納力アップ」というメリットを得られるので、思い切って小銭入れなしを選ぶのが良いと思います。

また、小銭入れなしをお使いの場合、別で小銭入れを持っているかも確認したいところです。
そのままポケットに入れる方や、小銭が出たら募金するという方もいますが、小銭入れを別で持っている方もたくさんいます。
その場合は、小銭入れもセットでプレゼントするか否か、合わせて考えてからお財布を探しに行くのが良いでしょう。

同じ作りの中で「小銭入れ付き」と、「小銭入れなし」をラインナップするお財布も多くあります。

カード枚数

お財布の収納力の程度を決めるにあたって大きな決め手になるのが、カードの枚数です。
小銭やお札はそもそも増減するものなので、どんな財布でも一定程度入りますが、カードはそうもいきません。
2〜3枚しか持たない人もいれば、20枚、30枚持つ人もいます。
カード20枚持つ人に、カードポケット2箇所のお財布は使えないでしょうし、逆もまた然りです。
カード枚数によってある程度、選択を狭めることが出来るので、お買い物前におおよその枚数を確認しておいてください。

カードを何枚入れたいかで、選ぶお財布は変わってきます。

収納場所

お財布は持ち歩くことが前提のものです。
そこで重要になるのが、「どこに入れているのか」ということです。
多くの方は以下のどれかではないでしょうか。

”鞄に入れる”
”ズボンのポケットに入れる”
”スーツの内ポケットに入れる”

鞄に入れる場合は、あまり財布自体のサイズを気にする必要はありません。形や収納力から選びましょう。
但し、特定の鞄をよく使う方で、その鞄が小さいのであれば、サイズも重要な要素になります。

ズボンのポケットに入れる場合は、「小ささ」と「薄さ」が大切です。
今お使いの財布の収納力を満たしつつも小さく、薄いものがあれば候補になってきます。

スーツの内ポケットに入れる場合は、何をおいても「薄さ」が大切です。
このパターンでは、小銭入れのない長財布が主流ですが、一部薄さが売りの二つ折り財布や、マネークリップも候補にあげることができます。

私自身はズボンのポケットの右後ろがお財布の定位置。
ポケットからはみ出さない折財布を使っています。

素材

お財布の素材は色々とありますが、その中でも革素材のものが圧倒的に多く、プレゼントで探す際もとりあえず革のものということで探している方が多いと思います。
革の中でも高いシェアを誇るのが牛革、そして馬革や山羊革などもある程度流通しています。
それらの革は大きく分けると「タンニンなめし」の革と「クロムなめし」の革のふたつに分けることが出来ます。
これはなめし加工の工程による違いで、簡単に説明すると以下のような特徴があります。

タンニンなめし=植物の樹皮などから抽出した渋(タンニン)を使ってなめす方法。傷はつきやすいが、使い込むほどに色が深くなり、艶が生まれるなどエイジングが楽しめる。

クロムなめし=化学物質を使ってなめす方法。傷が付きにくく、水も浸透しにくい。基本的に色もあまり変わらないためエイジングはしないが、綺麗なままで使うことが出来る。

細かいことを言うとその中間のものがあったり、色々とあるのですがひとまずの知識としては上記のもので十分です。
つまりは、プレゼントする相手の方が、エイジングを楽しんで、傷も味だと思って使うタイプの方なのか、傷を出来るだけつけずに綺麗なまま使いたいというタイプなのか。
タンニン、クロム、どちらが優れているとかいうものではないので、価値観としてどちらが好きかを確認しておくと、お財布選びがスムーズになります。

ちなみにそのあたりことについてはこちらのコラムで詳しく書いていますので、ご興味のある方はご一読ください。

左:クロムなめし  右:タンニンなめし
それぞれ2年程使用したお財布です。
どちらが好きかは人それぞれ…

形や、使用感の次に確認しておくと良いのが「色」です。
まず、「黒一択」という方が一定程度います。
そして、「黒・紺・茶の三択」という方も一定程度います。
これらの色で選ぶ方は、お仕事柄これらを選ぶという方も多いと思うので、その辺りは事前に確認しおきたいところです。
一方、「なんとなく黒をずっと使っているだけ」という方も多いです。
最近はそこまで気にしない方も増えていますし、青や緑系の色でも渋い色のものも多いので、明るい色はありかなしかというくらいのことをなんとなく把握しておくと良いと思います。

色については、最終的に渡す方の好みで良いのではないかと思ったりもしますが、今お使いの財布の色や、普段身につけたり、持っているものの色を確認しておけば、お買い物の時に選びやすくなるのではないでしょうか。

染色技術の発展に伴い、革の色味も多種多様になっています。

傷んでいる部分

最後に、これはつくり手目線での確認しておくと良いと思うポイント「今のお財布の傷んでいる場所」です。
今傷んでいる場所は、その方の使い方で傷みやすい場所です。
例えば、表面が傷だらけなのであれば傷つきにくい素材にしたり、エイジングして傷も味になる素材を選ぶという選択肢が出てきます。
裏地が破れているのであれば、内側がナイロン生地などでなく、裏地にも革を使っているものを選ぶと裏地破れが起こりにくくなります。
使い方を変えることは簡単ではないので、そこが傷むことを踏まえてお財布を探すと、選択肢が狭まり、選びやすくなるのではないでしょうか。

折財布で故障しやすいのが、この折り曲げた部分。
縫製が服などと干渉しやすいので、糸切れが起こりやすい部分です。
この部分の糸切れが気になるなら、写真のようにはじめから縫製がないものを選ぶのひとつの手です。

今回は、「プレゼントのお財布選び、買い物前に確認しておくべきこととは?」ということで、今のお財布の確認しておくべきことを書いてみました。
とは言っても、お財布というのはとてもプライベートな部分なので、あまりジロジロ見るのも難しい場合もあるかと思います。
今回書いたことを全て把握する必要はないので、外からパッと見て分かる形を確認したり、普段の何気ないシーンでどうやって使っているかを意識するだけで次のお財布選びのヒントになるばずです。
お買い物に出かける前にちょっと確認してみて、パートナーへの”ベストなお財布”を見つけてください。

豊田観自

プロフィール

豊田観自   代表/デザイン/製作

1985年 広島県生まれ。
大学卒業後、東京浅草の和太鼓・御神輿を製造販売する会社で営業職として働く。
その経験の中で、多くの「職人」と接して自分もモノを作る仕事をしたいと思い、
より日常的な「道具」を作りたいと考え、革製品のメーカーに転職。
2010年から大阪のレザーブランドで5年半、製造・販売に携わり、2015年独立。
自らデザイン、製作、販売までするファクトリーブランド「TSUKIKUSA」を立ち上げる。
革製品の製造に携わって12年ほど(2022年時点)
「小さい」ことと「使いやすい」ことを両立したお財布など、コンパクトな革小物を中心にアイテムを展開。
クラフトイベントへの出店からはじまり、近年は百貨店催事にも数多く出店中。