TSUKIKUSA 公式オンラインストア

実はこの6月で「TSUKIKUSA」はこっそりと10周年を迎えました。
何か大々的にそれらしい企画をやりたいという思いもなきにしもあらずでしたが、この10年で一番納期に迫られた4、5月をなんとか乗り切り、日々に追われるうちに気が付けば10年を迎えていました。
目の前には作らなければならないものと、作りたいものと、作る以外の仕事が山積みです。

でもまぁ10年経ってもやらなければいけないことがあるというのは幸せなことで、その幸せを噛み締めつつ、変わらずに目の前の仕事にコツコツと向き合っていこうと思います。

この写真は10年前に撮った写真と同じ構図で同じように撮ってみました。
道具類は、少し増えたりはしているものの、基本的に10年経っても何も変わらず。
少し手に馴染み、少し愛着が増した気がします。

なんてことを考えていると、自分が作りたいものはそれぞれのお客さんにとっての、こういった存在なのだと改めて思います。

特別なものではないけど、日々手元にあって、使って、触って、気が付いたら特別になっていたみたいな。

この10年でお財布や革小物を取り巻く状況も大きく変わりました。
キャッシュレス化が急速に進み、お財布を持たない人も珍しくはない時代に。
車の鍵はほとんどスマートキーになり、家の鍵もスマートキーが増えてきました。
名刺入れも、とにかく沢山入るものを、という声は聞かなくなった気がします。

全てはスマートに、なんでもスマートフォンに。

でも子どもたちを見ていると、鍵はガチャっと開けたいし、お金はじゃらじゃら払いたいし、そういった一つ一つの手触りを楽しんでいるように思います。
意外とそういうことって動物としての原初的な楽しみなのではと思ったり。

自分のことを思い出しても、はじめて家の鍵を持たされた時や、はじめての自分のお財布、はじめて自分の名前が印刷された名刺のことなどを覚えていて、それはそのモノの手触りと紐づいた記憶です。

もちろん自分もスマホユーザーであり、キャッシュレスの恩恵に預かる場面もあるので否定するわけではないのですが、なんだかどんどん身の回りのモノが減って、スマホの中に入って、手触りのないアプリになってしまうのが寂しいような…。

そんなことをここのところ考えていたので、広い意味で「手触り」のあるものを、その感触がお客様の記憶に残るようなものをつくりたいなと思う今日この頃です。